英題 : Ballad of Death Valley
邦題 : 死の谷のサルタナ
制作国 : イタリア
制作年 : 1970年
日本公開 : 劇場未公開作品
Director : Roberto Mauri
Story : Roberto Mauri
Screenplay : Roberto Mauri
Original Music : Augusto Martelli
Song: "A King for a Day" sung by Augusto Martelli
CD : 『La Collera Del Vento』 (Digitmovies CDDM014)

Lee Calloway (aka Sartana) : William Berger
Anthony Douglas : Wayde Preston
George Douglas : Aldo Berti
Peter Douglas : Franco De Rosa
Paco : Alan Collins (as Luciano Pigozzi)
Juanita : Jolanda Modio
Esther : Pamela Tudor
原題は直訳すると、“禿鷹の谷のサルタナ”となりました。
英題の方は幾つかあって“死の谷のバラード”を採用したが、“コンドルの谷のサルタナ”と言ったものもありました。ハゲタカ(禿鷹)って、鳥類のハゲワシ類またはコンドル類の俗称だそうです。死肉を主な餌とすることで知られますが、その意味では邦題は原題に忠実なのかも知れません。マカロニFANが付けたんだから当たり前です。
物語の大要はこうだ。
賞金首のキャロウェイ(aka サルタナ)は、ダグラス兄弟の盗み隠した金貨の50%を取り分とすることで、3兄弟を脱獄させることに成功した。しかし、兄弟たちはもとよりその約束を守る気持ちなどない。キャロウェイの命を奪うことを狙うも失敗する。そして“死の谷”を舞台とするキャロウェイとダグラス兄弟の駆け引きが繰り広げられていく。
この作品の主人公は悪党なんですね......序盤、馬車から降り立った若きガンマンは賞金稼ぎです。なかなか雰囲気を感じさせるガンマンなので一見主役にも思えたが、彼の狙いはキャロウェイでした。そのキャロウェイを見つけ引き金を弾くも勝負にはなりませんでした。
主人公キャロウェイを演じるのが、オーストリア出身のウィリアム・バーガーです。マカロニ・ウエスタン映画では『野獣暁に死す』や『西部悪人伝』が知られるでしょうが、他にも多くの作品があります。マカロニFANには有名な俳優の一人ですね。
この後、キャロウェイが町の銀行の支配人を脅す/強請るシーンが用意される。おそらくは昔の悪党仲間か、それに近い関係だったのでしょうね。支配人が抱える用心棒ともども斃されます。字幕がないので何とも言えませんが、もしかしてダグラス兄弟の盗んだ金貨のことを、ここで聞き出したのかも知れません。
死の谷の......邦題とは違って美しい風景もときおり覗かせる。

さて、物語の主軸をなすダグラス兄弟の入牢する保安官事務所。
ここでキャロウェイは保安官を銃で脅し、兄弟を牢から解放させます。さすがにここで保安官を殺害しては外道の物語になるのでしょう。銃で脅すだけで、その命を取ることはしません。
海外版映像媒体の最大の弱点......僕の弱点なんですが......ときおり分からないシーンがある。
それが人形製作師の父娘が住むシーンですね。
ここにダグラス兄弟が立ち寄った理由が分かりません。しかも父は怯え、最後は殺されました。

▲ Jolanda Modio & Alan Collins
ここでダグラス兄弟が本性を現し、キャロウェイに牙を剥きます。キャロウェイは散々に痛めつけられ、縛り付けられ......家には火を......。
間一髪のところでファニタ(Jolanda Modio)に助けられますね。
ちなみに長男を演じるのはウェイド・プレストン。アメリカ出身の役者で、マカロニ・ウエスタン映画では『野獣暁に死す』や『神よ、俺の拳銃を赦したまえ』などが知られるでしょうか。とてもカッコ良い役者さんです。次男はマカロニ・ウエスタンでは数多の作品でお馴染みのアルド・ベルティです。三男は『リンゴ・キッド』で優男風の顔立ちながら憎々しいヒール役を好演したフランコ・デ・ローザですね。でも、『死の谷のサルタナ』での彼は顔が随分と可愛くなっておりました。

▲ Wayde Preston、 Aldo Berti、 Franco De Rosa
ここからキャロウェイの復讐なのか、兄弟を追って金貨を奪うのか、『死の谷のサルタナ』が始まるワケです。ほどなく三男坊が斃され、その後は、“銃はあるけど馬がない”キャロウェイと、“馬はあるけど銃がない”ダグラス兄弟の微妙な距離感を置いた放浪となります。
そういう条件下での敵味方なので、銃撃戦は用意されていません。
厳しい荒野の中を歩くことで体力も消耗し、暑さで頭もフラフラ......死の谷の所以になるワケです。マカロニ西部劇で見られる派手なガンプレイを期待すると物足りなさを感じるマカロニFANもいるでしょうか。
しかし、その自然の厳しさをウィリアム・バーガーは素敵な演技で魅せてくれる。
行倒れ......体力の限界の彼を救ったのが、馬車で通り掛かったこの女性です。

『皆殺しの用心棒』のパメラ・チューダではないですか

彼女の家で介抱をされたキャロウェイは体力も介抱し、別れを告げ家を出ようとしますが、そのとき彼女が取った行動が信じられませんでした - お尋ね者のキャロウェイを捕らえて賞金を得ようとしたんです。
まさに女は魔物ですね。
物語はラストに向かいます。
ダグラス兄弟は隠れ家に戻り、仲間を連れて隠した金貨の掘り起こしです。そして、そこに現れたのがキャロウェイですね。仲間や次男坊も斃され、残るは長男のWayde Prestonだけです。
ここで予想外の展開です。

▲ Wayde Preston の肩に注目
最後の決着は銃でなかったんですね......サソリでした。
サソリの毒で今作品の悪玉アンソニー・ダグラスは命を落とすことになりました。
そして、もう一人の悪玉リー・キャロウェイは大金をせしめて荒野を去ってゆくのです。この金貨は軍から盗まれたようですが、軍隊の方は金貨ではなく、共に盗まれた書状だけをキャロウェイから取り上げて去っていきました。ここも字幕がないので理由は分かりません。そして、キャロウェイですが、途中で可哀想なダグラス母子の前を通ります(家族は皆、斃されましたからね)。しかし金貨の一部を与えることもなく、優しい言葉を掛けることもなく、去っていくキャロウェイです。
こんな終わり方で良いのかぁ~

ロベルト・マウリ監督はイタリア出身、マイナーなマカロニ・ウエスタン映画が5、6本ほどありますね。また多くの作品で脚本も書かれております。この作品のスコアはアウグスト・マルテッリ先生。主題歌は骨太な感じがして結構好きで、彼の書かれた作品とのカップリング盤がCDとしてリリースされている。
満足度 : ★★★☆☆

▲ イギリス版DVD 【音声:英語、79分】

▲ La Collera Del Vento
La Collera Del Vento - 17曲
Ancora Dollari Per I McGregor - 6曲
Sartana Nella Valle Degli Avvoltoi - 7曲
▲ Italy Digitmovies CDDM014 (Released : 25-Feb-2004)
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