英題 : Days Of Violence
邦題 : 暴力の日々
制作国 : イタリア
制作年 : 1967年
日本公開 : 劇場未公開作品
Director : Alfonso Brescia (as Al Bradley)
Story : Gian Luigi Buzzi
Screenplay : Mario Amendola/Antonio Boccacci/Gian Luigi Buzzi/Paolo Lombardo
Original Music : Bruno Nicolai

John Lee : Peter Lee Lawrence
Christine Evans : Beba Loncar
Capt. Dan Clifford : Luigi Vannucchi
Mr. Evans : Andrea Bosic
Butch : Nello Pazzafini
Hank Stone : Lucio Rosato
Lizzy : Rosalba Neri
Clell : Romano Puppo
原題も、英題も、そして邦題も“暴力の日々”です。
僕はマカロニ・ウエスタンにカタルシスを求めていません。
ある種の割り切った考え方......音楽が素敵で面白ければそれで良い。それになるのかな......そもそもマカロニ・ウエスタンは西部劇の体をもった娯楽映画だ。これがアメリカの場合だと事情が違う。アメリカにとって西部劇とは自国の歴史であって、時代の証言者にもなり得る。僕ら日本人にとっての時代劇と同じだ。そこには勧善懲悪の観点が存在する。正義の保安官/奉行が、悪の盗賊や悪徳商人/悪徳代官を懲らしめる......僕らはそれを見て、「心の中に溜まっていた澱(おり)のような感情が解放され、気持ちが浄化される」 - カタルシスを感じるわけだ。
マカロニ・ウエスタンにとって西部劇とは他国の話しであって、自国の歴史とは何ら関係がない。そこには派手なガンプレイがあって、暴力的な描写が描かれ、保安官/判事が悪玉の黒幕であることも珍しくはない。要は面白ければ何でも有りだ。そうは言っても、何の罪もない人々の命を奪っておきながら、罰されることもなく、罪の意識すら感じることもない。最後には恋人と手を携え、笑顔で荒野を去り行く主人公に感情移入/共感できるかと言えば、それは無理な話しでもある。
非道な仕打ちをするシーンはそんなに描かれていませんが......。
拙ブログ【作品102】Sette Winchester Per Un Massacroの記事でも触れたことかな。
舞台はアメリカ南部の牧場......エヴァンス牧場(演じるのはAndrea Bosic)とでも呼んでおこうか。
しかし、経営者エヴァンスは半身不随の身、実質的な作業はクレルとその妻リジィに任せているようだ。 エヴァンスとクレルの関係は分からないが、クレル夫妻には弟がいてこの弟ジョン・リーがこの作品の主人公になる。
そのジョンを演じるのが、マカロニFANには説明不要のPeter Lee Lawrenceです。その兄クレルをRomano Puppoが演じているが、珍しく善の役どころを得たと言うワケだ。その妻はRosalba Neriで、僕はこの作品でのRosalba Neriが大のお気に入りだ。『皆殺し無頼』の悪女も捨て難いが、この作品での色気もまた格別だ。
牧場主エヴァンスには娘がいて、その娘クリスティーヌが主人公と恋仲であると言う設定にもなる。
兄夫婦が働く牧場を弟ジョンも手伝う - そんな捕らえ方で良いのかな。
なお娘役はBeba Loncarと言う女優さんで、旧ユーゴスラビア(現、セルビア共和国)出身。マカロニ・ウエスタン映画では馴染みがなく、それ以外のジャンルの作品でも僕は知らない。
エヴァンス牧場で兄の嫁リジィがハンクなる暴漢に襲われた。
悲鳴を聞き駆け付けたジョンによって、ハンクの卑劣な行為は退けられ追いやられる。

逆恨みか - ハンクは悪党仲間を率いエヴァンス牧場を襲撃する。
しかし、ジョンと兄クレルの踏ん張りで退却を余儀なくされるが、牧場の馬が放牧され荒野へと走り抜けていく。ハンク一味と馬を追って兄弟は駆けるも、数に勝る悪党一味に苦戦を強いられる。
そこにブッチなる人物が仲間と共に現れ、主人公兄弟に助太刀をする......ハンクは退散するしかない。
教訓 - 見知らぬ男の無償の援助には気を付けよう。その男がマカロニ・ウエスタン映画で名高きヒール役ネロ・パッツァフィーニならなおさらのこと (^-^)ゝ ラジャ
ブッチは悪党なんだよね。
北軍の制服を着て悪さを働く日々のようです......そして酒場に来るも、悪党として顔を知られた男ですから、ハンクに見破られ銃撃戦になったりもしている。
そのハンクですが、エヴァンス牧場のことをまだ恨んでるみたいです。
知り合いの北軍の士官クリフォードを嗾けて(けしかけて)エヴァンス牧場に難癖を付けに向かわせる。そして抵抗したクレルがクリフォードに撃たれ、妻リジィもまたハンクによって命を絶たれた。

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このシーンのRosalba Neriは魅力的だ
たとえ死んだってお前(ハンク)には......抱かれたくない男No.1だ! 兄夫婦(もしかして姉夫婦かも)の復讐か......もともと牧場主エヴァンスとも反りが合わなかったのかも......ジョンは牧場を去る。そして、次のシーンでその姿をブッチ率いるならず者集団の中に見つけてしまった。彼は悪党グループに加わり罪を重ねていくんですね。
祇園精舎の鐘の声......諸行無常の響きあり......無残にも兄夫婦を殺害されたジョンの心境なんでしょうが、だからと言って罪もない人々の命を奪っても良いと言う道理にはなりません。
町に貼られたジョン・リーの手配書。
それを見た恋人クリスティーヌの心の隙間を埋めたのが、この地の有力者へと上り詰めた宿敵クリフォードでした。父エヴァンスもここに至ってクリフォードを頼るしかないのか。しかし、そこにジョンが戻ってきた。揺れるクリスティーヌの心情も、ジョンを信じる気持ちの方が勝ったのか、ジョンと屋敷を出ていく。
一方のクリフォードは悪玉ハンクを呼び出し、ジョンの行方を追う。
ジョンはクリスティーヌを連れてブッチと合流する。
そしてブッチの外道の姿が露わとなり、恋人クリスティーヌに牙を剥く。恋する女性を守るためジョンはブッチと乱闘、この戦いでブッチは斃される。
ここで分からないのが女ごころ......クリスティーヌはクリフォードと共に家に戻るんですよね。
恐らくは、ジョンことPeter Lee Lawrenceも分からなかったのでしょう。ひとまずは全ての元凶ハントとの対決を優先したことと思われ、ここでブッチに次いでハンクも斃されます(ButchとHankは仲間ではないですが) 。

▲ あんたの横恋慕から悲劇は始まったんだどぉ~! Hank Stoneこと、Lucio Rosato
そして宿敵クリフォードのいるエヴァンス牧場に向かう。
あとはお決まりの対決/決闘シーンですね......クリフォードも斃され、Peter Lee Lawrenceが生き残ります。そしてクリスティーヌはその主人公と共に旅立つ道を選びました。
結局、兄嫁が握っていたペンダントは何の意味があったんだろうか?
普通だと兄夫婦を殺害した犯人の証となるのだろうが、その殺害行為は牧場主エヴァンスも、下僕も見てるんだから必要ないでしょう。特にそのペンダントが効果的に使われたシーン/演出もなかったような......。
あと日本語字幕がないため、牧場主エヴァンスの立ち位置が不明でした。
どっち側も、こっち側も、あっち側もないんでしょうが、主人公兄弟にどんな感情/想いを抱いていたのかが気になりますね。
悪玉ハンクを演じたのが、『さすらいのガンマン』などのマカロニ・ウエスタン映画で知られるルチオ・ロサトです。同じくヒール役のクリフォードを演じたのがルイジ・ヴァンヌッキ、この方は『皆殺し無頼』があまりにも有名ですね。
この作品のスコアはブルーノ・ニコライ、監督のアルフォンソ・ブレシアは『殺し屋32口径』がありますね。あとマイナーなマカロニ・ウエスタン映画2,3本あったような気がします。マカロニ西部劇ではありませんが、『空手アマゾネス』もお撮りになっていました。
満足度 : ★★★☆☆

▲ ドイツ版DVD 【音声:ドイツ語/イタリア語、100分】

▲ I Giorni Della Violenza
▲ Italy GDM CD Club 7016 (Released : Sep-2003)
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