ジュリアーノ・ジェンマの記事(2017/12/08)のとき、紹介するのを忘れていたことがありました。
当時(70年代~80年)の日本での人気の高さを物語ることです。
有名なんで今さらなんですけど.....。

新しい個性は ローマの石畳にも 新しい時代を予感させた SUZUKI ジェンマ50
1982年から製造・発売されたスズキの原動機付自転車および小型自動二輪車(原付2種)のスクーター。ネーミングはジュリアーノ・ジェンマからであり、彼がCMのキャラクターもつとめた。なお「ジェンマ」はイタリア語で「宝石」を意味する単語である。
そのプロモートを兼ねて来日もしていたんだよね。
話しは全然変わりますが、様々な作品の映像を見ていると僕の脳内が混乱します。
作品Aのジェンマを書こうと思っても、作品Bのジェンマが出て来たり、作品Cのジェンマが脳内に現れたり、どのジェンマが、どの作品のジェンマかが分からなくなります。
今回の記事を書くに当たって2日間の休日を、ジェンマ映像を観ることに費やしました。
勿論、最初から最後まで観るなんてことは時間的に無理で、早送りしたり、チャプターを飛ばしたりです。さすがに今回だけは疲れました。退院して20日間ほど経ち、職場復帰も果たしました。ここで再び病院に逆戻りなんてならんように注意せねば.....。
マカロニ西部劇で主演を務めた俳優さんの映像媒体シリーズ。
このシリーズが今後も続くのか、否かは定かではありませんが、これまでクレイグ・ヒル、フランコ・ネロ、ジョージ・ヒルトン、そしてジャンニ・ガルコと取り上げ、今回は5回目になりますね。
かなりの数の作品が僕らの国では映像媒体としてリリースされていますので、一部はパッケージのみの紹介だけにしました。ページと言うのか、重くなるのを避けます。1991年の日本映画『フィレンツェの風に抱かれて』は国内版VIDEOが出ていますが、値が下がらず所持はしておりません。
では、さっそくG.ジェンマの出演作品の映像媒体を並べてみます。
なお、作品の一口解説は『映画データベース-allcinema』や『Wikipedia』、『amazon』等々のサイトの一文を抜粋/編集させてもらいました。

▲ 『山猫』 (Il Gattopardo 1963・伊/仏).........
後ろはテレンス・ヒル イタリア映画界を代表する名匠ルキノ・ヴィスコンティ監督が、貴族階級の落日を浮き彫りにした超大作。豪華絢爛たる舞踏会シーンは、まるでスペクタクル映画のように圧巻だが、その喧騒をよそに感慨にふけるB・ランカスターの名演をやはり忘れてはならないだろう。貴族階級の出でもあるヴィスコンティ監督ならではの執念の傑作。G.ジェンマは軍人の役どころですすが、ストーリーとどのように関わっているかは分かりません。このDVD、通しで観たことはないので....、毎回途中で寝てしまう^^

▲ 『アンジェリク2/ヴェルサイユへの道』 (Anjeriku 2/Verusaiyu e No Michi 1965・伊/仏/独)
17世紀のフランスで、波乱万丈な人生を送る貴族出身の女性アンジェリク。彼女が繰り広げる愛と冒険のドラマを壮大なスケールで描いた大河ロマン......僕の手元にあるのは2作目のVIDEO版ですが、6枚組のDVD箱物も出ているようです。この手の作品は僕は苦手でありまして真面目に鑑賞した記憶がない。G.ジェンマは盗賊団の親玉ですが(ヒール役ではない)、主人公アンジェリクの支えでもありました。ストーリー中盤で命を落とした記憶があるが、あまり覚えていません。

写真左から、
『キスキス...バンバン』国内版DVD (Kiss Kiss... Bang Bang 1966・伊/西)
『特攻大戦線』国内版DVD (Corbari 1970・伊)
『ザ・ビッグマン』国内盤DVD (Un Uomo Da Rispettare 1972・伊/独)
この時代になるとマカロニ・ウエスタン映画での成功もあって、G.ジェンマはイタリアを代表する国際派スターになりますね。主演作品が次から次と言う状況でした。『特攻大戦線』はファシズムに抵抗する若者たちを描いた作品で、G.ジェンマはレジスタンスのリーダー。容赦なくファシストの命を奪い、その代償として自らも最後は命を落とす。結局は何も解決しない......虚しさだけが残される。観る人を選ぶ作品かも知れませんね。『ザ・ビッグマン』は“ハリウッドスター”カーク・ダグラスとの競演だ。プロの金庫破りの仕事に、仲間として加わるG.ジェンマだったが.......この作品は面白い。マカロニ・ウエスタンでお馴染みのロマーノ・プッポとのカーチェイスも迫力十分。欠点はDVDの画質が悪いということか.....。

▲ 『ゴールデン・ボーイ/危機また危機』 (Troppo Rischio Per Un Uomo Solo 1973・伊)
恋人を殺された上、その殺人容疑までかけられた主人公が、謎の組織によって脱獄させられた。彼は友人の助けを得て麻薬ギャングと戦う事になるが.....。陰謀に巻き込まれたレーサーの活躍を描くアクション。G.ジェンマ主演の作品なので購入し鑑賞しましたが、先の『キスキス・バンバン』に比べると面白さは半減と言うのが僕の正直な感想です。

▲ 『
ジュリアーノ・ジェンマのくたばれカポネ』 (Anche Gli Angeli Mangiano Fagioli 1973・伊/仏/西)
1920年代のNY、文無しのチンピラ(G.ジェンマ)と、八百長を断ったために追われている覆面レスラー(B.スペンサー)がコンビを組んだ作品。ギャングを夢見る若者が、その夢に嫌気がさしていく姿をユーモアを添えて描くギャング映画。これまたジェンマ主演作品と言うことで購入しただけで、ハッピーエンドの結末は良いとして全体的には今一つの感想は否めません。テーマソングは楽しそうで好きです。ビデオのタイトル・バックは英題ですね。

▲ 『ミラノの恋人』 (Delitto D'amore 1974・伊)
ミラノの工場で働く青年(G.ジェンマ)が、シシリアから出てきた娘と恋仲になった。二人は結婚を誓いあうが、工場の公害によって、彼女は死んでいく.....。公害をテーマに、若い男女の悲恋を描く。労働者階級の厳しい現実、はたまた悲しい恋を描きたかったのか。詩情を感じさせる映像に、素敵な音楽がマッチし悪くない作品だと思います。この時代のジェンマ出演の作品の中では評判にもなったのでは.....。ただし個人的には苦手な分野の作品なのです。Stefania Sandrelliってマカロニ・ウエスタン映画の出演がないのよね。

写真左から、
『シマはもらった !』国内版DVD (Anche Gli Angeli Tirano Di Destro 1974・伊)
『アフリカ特急』国内版VIDEO (Africa Express 1975・伊/独)
『白熱マフィア戦争/皆殺しの抗争』国内版VIDEO (Corleone 1978・伊)
『シマはもらった !』は『くたばれカポネ』の姉妹編のような感じでNYで一旗揚げようとするチンピラのドタバタ劇。『アフリカ特急』は相棒のチンパンジーとトラックで日用品を売り歩く男が(G.ジェンマ)、動物密猟団と対決するコメディ・アクション劇。翌年には続編とも言える『サファリ特急』が作られている。『白熱マフィア戦争/皆殺しの抗争』はイタリアお得意のB級アクション物で、貧しい青年(G.ジェンマ)がマフィアの大幹部へと這い上がっていくまでの苦悩を描く。E.モリコーネのテーマ曲が心に沁みる。日本で劇場公開される作品もあれば、未公開ながらも国内版の映像媒体がリリースされるG.ジェンマ......当時の人気の高さを伺えますが、マカロニ・ウエスタン映画ほどHITした作品が少ないのも事実かな。

▲ 『サファリ特急』 (Safari Express 1976・伊)
アフリカの広大なサバンナを舞台に、ガイドのジョン・バクスター(G.ジェンマ)が密猟業者と闘いを繰り広げるコメディ・アクション。監督はドゥッチオ・テッサリ(『アフリカ特急』の監督はミケーレ・ルーポ)、脚本はブルーノ・コルブッチと言う凄い布陣でして、予想に反して楽しめました。そしてロレッラ・デ・ルーカ夫人がコッソリと出演されておりまして、それなのにビデオ映像とは......画質が悪すぎますわ。

▲ 『鉄人長官』 (Il Prefetto Di Ferro 1977・伊)
1920年代初頭、シシリアに警察庁長官として赴任した男が(G.ジェンマ)、マフィアの脅しに一歩も退くことなく、彼らを次々に検挙してゆく。村を作ってたてこもる山賊の検挙には冷酷無比ともいえる手段を取り、権力者たちに対しても怯むことなく法を行使する。時の勢力であるファッショ党員がマフィアと癒着していることを知った彼はそれを裏付ける証拠を探すが、つながりを辿ってゆくとイタリア国家に行き着くのだった。実話に基づいて作られた映画で、静かな語り口の中に凄味を感じる秀作。
この作品はG.ジェンマの主演作品の中でも上位クラスの1本ではないでしょうか。スコアを書いているのが巨匠エンニオ・モリコーネ先生で、これがまた素敵であります。

写真左から、
『ザ・ビッグ・バトル』国内版VIDEO (Il Grande Attacco 1978・伊/独/ユ)
『レッド・ベレー/史上最強の傭兵部隊』国内版VIDEO (La Légion Saute Sur Kolwezi 1979・仏)
『
ジュリアーノ・ジェンマのウォー・ジャック』国内版VIDEO (Ciao Nemico 1983・伊)
戦争物が3本になりますね。第二次大戦を舞台に複数の登場人物を並列的に描いたイタリア版「遠すぎた橋」とも言われる『ザ・ビッグ・バトル』が一番の出来でしょうか。名優ヘンリー・フォンダの主演で軍配が挙がった......音盤もCDになっているしね。『レッド・ベレー』は傭兵部隊の人質救出作戦を描いたアクション物。前半の内戦(反乱軍)のシーンはぐいぐい引き込まれるリアルさを感じる。この流れが続いていけば良いのに、G.ジェンマ率いる傭兵部隊が登場する中盤のテンポの悪さが気になる。それでも最後まで楽しく観れたかな。『ウォー・ジャック』は特殊任務を帯びたアメリカ軍とイタリア軍のミニ部隊が戦場で出会い意気投合する。これ以上の戦禍は必要なしと軍の進撃を止めるためあの手この手の作戦を......。G.ジェンマはアメリカ軍ミニ部隊のリーダー。コミカルな演出も今ひとつ物足りなさを感じる......音楽は好きなんやけどね。

▲ 『警告』 (L'avvertimento 1980・伊) ↑ 英題
腐敗した政界と癒着する汚れた警察を鋭く描いた作品......イタリア映画お得意の分野の一つでもあるかな。需要な証人の殺害から端を発し、お互いに信頼を置けない捜査コンビ(G.ジェンマとマーチン・バルサム)に買収の手が伸び、さらには権力機構が立ちはだかる。日本未公開作品であり、G.ジェンマの主演作品の中でも話題に上がることの少ない作品だが楽しめました。 『鉄人長官』にも言えることだが、シリアスなG.ジェンマの演技って僕は好きです。

▲ 『シャドー』 (Tenebreo 1982・伊)
ベストセラーとなった新作小説「暗闇の祈り」を携え、米人推理小説作家のピーター・ニール(A・フランシオサ)は宣伝キャンペーンでローマを訪れた。その来訪を待っていたかのように次々と起こる凄惨な連続殺人。万引き常習犯の娼婦が、レズビアンの女性記者とその恋人が、鋭利な剃刀で喉を裂かれて惨殺される。猟奇的なその犯行手口は「暗闇の祈り」を模倣したもの。姿なき殺人者はニールに脅迫状を送りつけ、血塗られた魔手を彼の身辺にも伸ばし始める。
ホラー作品の好きな僕には楽しめる作品でして、連続殺人の捜査に当たるのがG.ジェンマですが、なんと最後には衝撃な結末が用意されていました。マカロニ・ウエスタンのHEROを許せんっ!

写真左から、
『ドン・コルレオーネの娘/禁断』国内版VIDEO (Le Cercle Des Passions 1983・仏/伊/西)
『仁義なき街』国内版DVD (Al Acecho 1988・西)
『
ジュリアーノ・ジェンマのシャトル・ブルース』国内版VIDEO (Châteauroux District 1987・仏)
『ドン・コルレオーネの娘』は父親の埋葬のためにシシリー島を訪れたG.ジェンマが、島で出会ったエルザと言う女性の魔性に惹かれ溺れていくエロティック・バイオレンス物。邦題にあるドン・コルレオーネは意味がなく、娘の父親が島のドン(ボス的な重要人物)と言う設定になっている。期待を裏切って意外と楽しめた。DVDで観たい作品だね。『仁義なき街』は仲間と組織に裏切られた男が(G.ジェンマ)が5年後、復讐の鬼と化して街に戻り自分を裏切った仲間と巨大組織に捨て身の戦いを挑むストーリー。内容云々よりも孤高の男を演じるG.ジェンマの渋さに酔った。『シャトル・ブルース』は回想シーンとラストのワン・シーンに出演するのみだが、それでも作品名にジュリアーノ・ジェンマの冠名が付くのだから、日本での人気の高さが伺えますね。死んだと聞かされていた父親を捜す娘......その父親がG.ジェンマの役どころだ。

▲ 『シークレット・ポワゾン/背徳の蜜事』 (La Donna Del Delitto 2001・伊)
このエロティック・サスペンス物が、多くの映画サイトでG.ジェンマの出演作品として他の出演作品とともに並んでいます。
根がスケベな僕は飛びついてこの作品を買いましたが......G.ジェンマが出て来ません。出て来るのは鼻血だけです。この作品に出てくるのはジュリアーナ・ジェンマ(Giuliana Gemma)と言う女優さんですから注意してください。ジュリアーノではなく、ジュリアーナです。

▲ 『デザート・オブ・ファイアー』 (Il Deserto Di Fuoco 1997・伊/仏/独)
エンツォ・G・カステラッリ監督によるTV映画ですが、かなりの超大作です。オリジナルは270分ですが、日本では113分に短縮してDVD化されました。半分以上カットして作品が成り立つのか疑問もありますが、俳優陣が凄い。主演はアラン・ドロの息子アントニー・ドロン。“Django”ことフランコ・ネロに、ファビオ・テスティ。映画『ウエスタン』でお馴染みのクラウディア・カルディナーレに、脚本にはジョージ・イーストマンの名がある。そこにジュリアーノ・ジェンマと続けばマカロニFANは観ないワケにはいかんでしょう。
内容は、砂漠にヘリが墜落し、幼い子供一人だけがベレム族の王に救出された。25年後、アラブの王子として育てられた彼は、預言者から出生の秘密を聞かされて......灼熱の砂漠を舞台にした冒険活劇と紹介されます。

▲ 『ボルケーノ in ポンペイ 都市が消えた日』 (Pompei 2007・伊)
ローマ帝国の失われた都市ポンペイ。人類史上稀に見るディザスターによって地中に埋もれてしまった街と、そこにうごめく陰謀、そして愛の物語を描く史劇×ディザスターの超大作作品だ。TV映画とは思えない圧倒的なスケールと驚愕のディザスター・シーンが見事に再現される。3時間は長いと感じるも最後までしっかりと観ることが出来た。欲を言えば、もう少し当時の人々の生活風景を描いて欲しかったかな。
ローマ軍の将軍役がG.ジェンマですが、やっぱり風格がありますね。主人公の出陣した序盤のシーン、そして作品のラスト、明日への希望を誓う主人公に、G.ジェンマ演じる将軍が応えるシーンも貫禄の役どころではないだろうか。
西部の荒野にその名を響かせた“早撃ちリンゴ”の、西部以外での仕事ぶりを見てきました。
どうです.....、この方が僕の思い出の俳優ジュリアーノ・ジェンマですよ。
でも僕だけではないですよね。当時のTVの洋画劇場でマカロニ・ウエスタン映画に夢中になった世代の方は、みんな思いは一緒だと思います。
刑事もいい......軍人もいい......ギャングに憧れる青年もいい......レーサーだって、労働者だって......いい。
でも、やっぱり“これ”に勝るものはなし

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▲ 『さいはての用心棒』から
僕は病が落ち着いたらイタリアを訪ねようと思っている。
そして彼の墓前で語りかけるんだ、彼に....。
「ありがとう」......と。
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