1933年2月25日 イタリア/ラツィオ州ローマ出身 - 2017年6月16日
uncredited と言う用語がある。
文字通り、「クレジットされない」......名前を出していない。映画・番組などの制作に参加・協力しているが、クレジットされていないこと。役割が小さいので省略される場合がほとんどなのか......何らかの理由で名前を伏せている場合もあるらしい。役名がなく、台詞が用意されていないことも多い。そうなると映画やTV作品のタイトルバックやエンドロールにも名前が載らなかったりもする。
マカロニ・ウエスタン映画で悪玉フェルナンド(Fernando)の配下で出演......uncredited扱いで役名はない。
その場合、IMDbサイトでは役名をこのように表記している。
Fernand Henchman......日本語にすると、“フェルナンドの子分”
映画は主役や主要な脇役だけで成り立つものではない。
主人公を、あるいは悪玉を引き立てるために、殺されたり、親玉の後ろに控える人物が必要だ。町の酒場ではカードゲームに興じる役も求められるであろうし、馬屋では黙々と馬の世話をする人が必要になる。そうした“その他大勢”の役者さんがいるからこそ作品が成り立つわけで、より一層素晴らしい作品へと仕上げられていくワケだ。
僕はマカロニ・ウエスタン映画を愛し、同じくその映画を支える“その他大勢”の役者さんを愛し、かつ尊敬の念を抱かずにはいられない。
今回、紹介させていただく俳優さんも、そのほとんどの作品が uncredited 扱いだ。
そうなると僕らの国で情報を得るのは難しく、今回もまたいつもに増して中途半端な記事になるであろうことを最初にお断りしておきたい。
僕が不思議に思うのが決して悪人顔ではないのに、多くの作品で悪玉の子分を演じている。
マカロニ・ウエスタンだから、市井の人物よりも派手に殺される人物の方が需要が高いのかも知れません。

▲ 『十字架の長い列』 (Una Lnga Fila Di Croci / 1969)より
イタリアの首都ローマの出身であると言うことは分かっておりまして、そのイタリア版Wikipediaにわずかながら彼の情報が記されています。
興味深いのが“judoka ”と言う記述でして、これは「柔道」のことを指すかと思います。
その柔道が縁となり、俳優の世界へと進まれたようなことが書かれている。次の文章はドイツ版Wikipediaから抜粋しました。語学の不得手な私が訳すより原文の方が正確に伝わりますから.....。
Galimberti, der besonders im Judo seine sportlichen Fähigkeiten unter Beweis stellte, kam zu Beginn der 1960er Jahre als Stuntman zum Film und wurde bis Mitte des folgenden Jahrzehntes einer der bekanntesten Waffenmeister und Stuntleute, der in zahlreichen Genrefilmen
IMDbサイトでは1962年の『怒れ!バイキング』(I Normanni / 伊・独・仏)の作品から足跡を綴ります。
放題からも分かるかと思いますが、日本での劇場公開がされた作品でしてアドヴェンチャー物と紹介されておりました。僕は観たことがなく、詳しい内容等は不明です。その後もイタリア十八番のソード&サンダル系と言うんでしょうか、冒険史劇的な作品への出演が続いていく。
マカロニ・ウエスタン作品は1965年の『続・さすらいの一匹狼』が最初に記されています。そして、この作品以降は怒涛の如く、マカロニ・ウエスタン映画への出演が続いていく。役どころに関しては悪玉の配下の一人と言うものが断然多く、銃を握っての撃ち合いのシーンも結構見受けられる。ただし最初に書いているように、その多くがuncredited扱いですので、彼の姿がスクリーン上に大きく映し出されるシーンは少ない。
写真左から、
『続・さすらいの一匹狼』国内盤EP (Adiós Gringo 1965・伊/仏/西)
『続・荒野の用心棒』国内盤EP (Django 1966・伊/西)
『西部悪人伝』国内盤EP (Ehi Amico...C'e Sabata, Hai Chiuso ! 1969・伊)
1960年代はマカロニ・ウエスタン映画の出演が目立つも、1970年代に入るとさらに活動の幅が広がっていく。そして1976年には俳優仲間とともにアクション系の映画機関(Acrobat Cinematography Organization)なる組織を立ち上げたことをWikipediaは記している。この組織がどういうものかは分かりません。憶測するなら、無名/駆け出しの俳優の作品への出演取り次ぎや支援を目的としたものと勝手に想像しております。勿論、彼自身の俳優活動も並行して行われている。
IMDbでは1991年までに95本の作品に彼の名を刻んでいます。
1970年代以降、どんな作品に出演していたのであろう。
ここで僕が所持する映像媒体からその作品を見てみましょうか....。

写真左から、
『皆殺しハンター』国内盤DVD イタリアB級アクション黄金BOX (La Mala Ordina 1972・伊/独)
『エロチカ・ポリス/コスプレ大作戦』国内盤DVD エロチカ・ポリス・トリプルBOX
...................................(La Poliziotta Della Squadra Del Buon Costume 1979・伊)
『ビヨンド』国内盤DVD (...E Tu Vivrai Nel Terrore! L'aldilà 1981・伊)
上記の内、『皆殺しハンター』は“イタリアB級アクション黄金BOX”と言う箱物に収録されていた4枚組の内の1枚です。また『エロチカ・ポリス/コスプレ大作戦』は“エロチカ・ポリス・トリプルBOX”と言う箱物に収められていた3枚組の内の1枚となります。
『皆殺しハンター』は紛失した麻薬をめぐって跋扈するマフィアの世界。その横領の罪を着せられた男がマフィアのBOSSに復讐するアクション物......G.Galimbertiは黒幕のBOSSの手下だが、任務に失敗しBOSSに撃ち殺される。『エロチカ・ポリス/コスプレ大作戦』は行方の分からない少年の母を捜すため娼婦、踊り子に扮した婦警が、結果的に人身売買組織を摘発する~みたいな感じですね。エロ度も少なく、内容も今一つ、今二つ、今三つでした。G.Galimbertiの姿が見えんかった。

▲ 『ビヨンド』 タイトルバックは英題 ゾンビ役のGilberto Galimberti
『ビヨンド』はルチオ・フルチ監督のゾンビ・ホラー物でして、随所に残虐/グロが全開であります。そしてストーリーは完全に破綻しておりますな~。好きな人は好きなんでしょうが、僕にはちょっと無理っぽ。ラストのゾンビ襲撃のシーンで、そのゾンビに扮したG.Galimbertiが見られる。
■ ギルベルト・ガリムベルティ in Macaroni Westerns ■
非常に多くのマカロニ・ウエスタン映画に出演されています。
今回、彼を紹介するにあたって全ての作品をチェックする時間などありません。また未見作品も10本ほどあるでしょうか。その意味では完全に検証と言いますか、確認は取れていません。
下に掲げた作品の中で『彼は早撃ちと呼ばれていた』ではほぼ全編に渡って活躍される彼の姿が魅られます。この作品が一番のお勧めになるでしょうか......海外版の映像媒体です。国内版の映像媒体では『皆殺しのガンファイター』でしょうか。物語の中盤で主演のA.ステファンと町中で派手な撃ち合いを行っていますね。多くの作品ではuncredited扱いになりますが、親玉の子分/配下では目立つ存在なのですぐ分かるかとは思います。
Adiós Gringo 続・さすらいの一匹狼 1965
Trenta Winchester Per El Diablo 悪魔のための30丁のウインチェスター 1965
Django 続・荒野の用心棒 1966
Mille Dollari Sul Nero 砂塵に血を吐け 1966
Bill Il Taciturno ジャンゴよ、静かに殺せ 1967
I Giorni Della Violenza 暴力の日々 1967
Buckaroo ウィンチェスターが許さない 1967
Una Colt, In Pugno Al Diavolo コルトを持ったげんこつ野郎 1967
Sentenza Di Morte 死の判決 1968
E Venne Il Tempo Di Uccidere 殺しのときがやって来た 1968
La Vendetta E Il Mio Perdono - 1968
Uno Dopo L'altro 皆殺しの用心棒 1968
Se Incontri Sartana Prega Per La Tua Morte サルタナに逢ったらお前の死を祈れ 1968
Uno Di Più All'inferno 地獄へ逆戻り 1968
Una Lnga Fila Di Croci 十字架の長い列 1969
L'odio E Il Mio Dio 憎しみは我が神 1969
Dio Perdoni La Mia Pistola 神よ、俺の拳銃を赦したまえ 1969
Ehi Amico...C'e Sabata, Hai Chiuso ! 西部悪人伝 1969
Ciakmull - L'uomo Della Vendetta 復讐者チャックムール 1970
Shango, La Pistola Infallibile シャンゴ百発百中 1970
La Belva ザ・ビースト 1970
Un Uomo Chiamato Apocalisse Joe 皆殺しのガンファイター 1970
Lo Chiamavano Trinità... 花と夕日とライフルと...風来坊 1970
È Tornato Sabata…Hai Chiuso Un'altra Volta 西部決闘史 1971
In Nome Del Padre, Del Figlio E Della Colt 父と子の拳銃の名において 1971
W Django ! 復讐のガンマン ジャンゴ 1971
Continuavano A Chiamarlo Trinità 風来坊Ⅱ/ザ・アウトロー 1971
Spirito Santo E Le Cinque Magnifiche Canaglie 精霊と5人の勇壮なならず者 1972
Trinita E Sartana Figli Di... トリニティとサルタナ 1972
I Due Figli Di Trinita トリニティの2人の息子 1972
Lo Chiamavano Verità 人呼んで真実の人 1972
La Vita, A Volte, E Molto Dura, Vero Provvidenza?
ときとして、人生はつらくないかいプロヴィデンサ? 1972
Un Animale Chiamato Uomo 獣と呼ばれた男 1972
Sentivano Uno Strano, Eccitante, Pericoloso Puzzo Di Dollari
匂いがする...奇妙で刺激的で危険なドルの匂いが 1973
Tutti Per Uno, Botte Per Tutti 西部の三銃士 1973
Lo Chiamavano Requiescat Fasthand 彼は早撃ちと呼ばれていた 1973
Corte Marziale - 1973
Piu Forte Sorelle 最強の修道女 1973
Carambola Filotto...Tutti In Buca カランボラの極意は右ポケットにあり 1975
El Macho マッチョ 1977

▲ Adiós Gringo (Left Person)
■ 中盤に差し掛かるころ、悪党一味の牧場に仕える男と言う役どころで登場

▲ Django (Right Person)
■ 冒頭、今作のヒロインの女性を私刑するジャクソン大佐(悪玉)の一味として登場

▲ I Giorni Della Violenza (タイトルバックはドイツ題......Right Person)
■ のちに主人公と仲違いする悪党の子分として登場

▲ E Venne Il Tempo Di Uccidere (タイトルバックに俳優名が載る)
■ 町を二分する一方の悪玉の配下として登場

▲ Uno Dopo L'altro (Center Person)
■ 中盤、主人公ガンマンと策を練る山賊の頭領の配下として登場

▲ Ehi Amico...C'e Sabata, Hai Chiuso ! (タイトルバックは英題)
■ 中盤、主人公の命を狙うヒットマンとして登場

▲ W Django !
■ 中盤、荒くれどもが騒ぐ酒場のシーンに登場

▲ Continuavano A Chiamarlo Trinità (タイトルバックは英題......Eyepatch)
■ 中盤、主人公コンビとカードをするギャンブラーとして登場

▲ La Vita, A Volte, E Molto Dura, Vero Provvidenza? (Right Person)
■ 中盤を過ぎた頃か、主人公とのカードやビリヤードの対決シーンに登場

▲ Lo Chiamavano Requiescat Fasthand (Gill Roland名義 タイトルバックに俳優名が載る)
■ 悪玉の主要な配下として全編でその姿を.....ラストで主人公に斃される
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