男優 6 Aldo Sambrell 

 1931年2月23日 スペイン/マドリード州マドリード出身 - 2010年7月10日

 マカロニ・ウエスタン映画の悪役一筋の代表格の一人でしょうか。
 セルジオ・レオーネの“ドル箱三部作”でも.....“夕陽三部作”でも.....悪役/悪党一味でした。
 (『夕陽のギャング』は銃殺刑の監督なんで違うか)
 
 そのレオーネ監督の2つの“三部作”への出演からも分かるかと思いますが、マカロニ・ウエスタン映画ではお馴染みの役者さんであり、マカロニFANでA.サンブレルが知らない人は“モグリ”と言っても過言ではありません。

 冒頭に悪役の代表格と言いましたが、僕なんかはカッコ良い俳優さんだと思っている。

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 ▲ 『続・夕陽のガンマン』より

 ね、カッコ良いでしょう?

 スペイン版Wikipediaにはアルド・サンブレルの経歴が詳細に語られている。
 スペイン内戦の混乱を避け家族ともどもメキシコに渡ったことが記され、その地でサッカー選手を目指したとも語られている。さらに興味深い記述があり、やがて歌手としてエンターテインメント業界に足を踏み入れたことが記されていまして、これはとても意外な感じがいたしました。マカロニ・ウエスタン映画では“歌”とは無縁な世界に身を置いていましたからね。
 1959年に父親が亡くなり、その後故郷のスペインに戻ります。
 最初はサッカー選手を目指していたようですが、メキシコ時代の影響もあってか俳優への道を歩みだしました。

 IMDbサイトでは1961年のアメリカ映画『キング・オブ・キングス(King Of Kings)』と言う作品を、その第一歩として記している。
 この作品、邦題が付くことからも想像できましょうが、当時は日本でも劇場公開がされたようです。ジャンル的には歴史ドラマのような感じがしますが、僕は観たことがありません。一応、日本国内でDVD映像のリリースがされたようですね。

 その2年後、『赤い砂の決闘』がマカロニ・ウエスタン映画の出演の第一作目となる。
 この作品では中盤過ぎに悪党一味の一人として登場、そして主人公(R.ハリスン)を岩陰から狙うも失敗、逆に命を落とすと言う役どころでした。
 以後、マカロニ西部劇の常連俳優として、冒頭にも記したように悪役/悪党一味と言う役で出演が続く。

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 左から、
 『荒野の用心棒』国内盤EP (Per Un Pugno Di Dollari 1964・伊/西/独)
 『夕陽のガンマン』国内盤EP (Per Qualche Dollaro In Più 1965・伊/西/独)
 『続・夕陽のガンマン』国内盤EP (Il Buono, Il Brutto, Il Cattivo 1966・伊/西/独)

 ドル箱三部作の国内盤EPですね ♪
 ちなみに上記の“夕陽のガンマン”と“続・夕陽のガンマン”に『夕陽のギャングたち』を加えた三作品を“夕陽三部作”と称します(こんなこと書かんくても拙ブログを訪れる人は知ってますよね)。

 マカロニ・ウエスタン映画の傑作/名作と言うことで上記の作品を挙げましたが、A.サンブレルの代表作はと問われて誰もが思い出すの下の作品ではないでしょうか。

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 ▲ 『さすらいのガンマン』映画パンフ (Navajo Joe 1966・伊/西)

 1966年のマカロニ西部劇『さすらいのガンマン』.....ここで演じた悪玉の親分役は強烈でした。
 原住民ネィテイブの逆皮剥ぎを行ったかと思うと、西部の町では牧師であろうと女であろうと見境なく殺し、まさに極悪非道の行いを何とも思わん外道そのものの姿です。その強烈な悪玉の役どころが、その後のA.サンブレルのマカロニ・ウエスタン映画の役を決定づけたとも思える役柄でした。
 そのくせポスターでは主人公のバート・レイノルズよりも目立っております(画像のパンフ参照)。

 マカロニ西部劇への出演はまだまだ続きます。
 下に掲げたのはA.サンブレルの出演した作品の音盤です(他の俳優同様、公平に3枚)。

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 左から、
 『血斗のジャンゴ』CD (Faccia A Faccia 1967・西/伊)
 『白昼の列車強盗』CD (Un Treno Per Durango 1968・伊/西)
 『真昼と呼ばれた男』CD (Lo Chiamavano Mezzogiorno 1973・西/伊/英)

 いや~良いですね ♪
 こうして音盤を並べてみただけでも映画の場面場面が蘇って参ります。
 それと、冒頭で悪役一筋と言いましたが、『白昼の列車強盗』は違ったはず.....それと『血斗のジャンゴ』も牢に入っておりますが直接悪いことをするシーンはありません。ただ何かをやらかす予感はありまして、案の定、主人公(T.ミリアン)を裏切りましたね。

 A.サンブレルのように特定のジャンルの中で役柄が固定されると、その他の作品でも演じる役どころも狭められるのが普通ではないでしょうか。
 そんな心配をしたくなりますが、彼はマカロニ・ウエスタン映画以外の作品でも素晴らしい活躍をされている俳優さんです。
 IMDbサイトではその生涯に165本もの映画/TV作品に彼の足跡を刻んでいる。

 ここでその作品を幾つか紹介させていただきます。

 僕のマカロニ部屋の押し入れの段ボール箱を引っ張り出す。

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 左から、
 『哀しみのトリスターナ』DVD (Tristana 1970・西/伊/仏)
 『カーク・ダグラスとユル・ブリンナーの世界の果ての大冒険』Video
                    (The Light At The Edge of the World 1971・米/列/西/瑞)
 『黒いジャガー/アフリカ作戦』DVD (Shaft In Africa 1973・米)

 フランスが生んだ国際派女優カトリーヌ・ドヌーブ主演の『哀しみのトリスタナー』は“数奇な運命に翻弄された美しい女性は、激しい憎悪の念を秘めた悪女へと変貌を遂げていく。鬼才ルイス・ブニュエル監督が、美貌の影に潜む女の魔性を見事に描いた文芸ドラマ”とある(Amazonより)。お~い、A.サンブレルはどこだ~。映像を早送りで観たけど分かりません。きちんと観れば見つかるんでしょうが、あまり好みの作品じゃないんよ。
 豪華二大スターによる共演『世界の果ての大冒険』は“『海底二万哩』『地底人間の謎』など冒険科学小説の第一人者ジュール・ヴェルヌの原作からなる海洋アクション。南米の最南端ホーン岬の灯台守が、残忍な海賊に単身立ち向かう”と言う内容だ(ぴあ映画生活より)。ユル・ブリンナー扮する海賊の親玉の配下、航海士のタルカンテがA.サンブレルの役どころとなる。ビデオのパッケージには「愛とスペクタクルあふれるアドベンチャー巨編”とあるが、僕的には単なる盗賊(Y.ブリンナー)一味と灯台守(K.ダグラス)の戦いにしか見えんかったです。それでもT.ガルシアやV.イズラエル、F.レイなどのマカロニ西部劇でお馴染みの俳優さんが出ていたので楽しめたかな。
 1971年公開のブラック・パワー・ムービーの傑作『黒いジャガー』のシリーズ3作品目が『黒いジャガー/アフリカ作戦』です。現代の奴隷貿易を根絶するためアフリカへの潜入調査を依頼されたシャフトの活躍を描く。その黒人奴隷を売り捌く犯罪組織の親玉に仕える役どころでA.サンブレルが出演されている。物語の序盤、親玉の命によって逃亡した黒人をみせしめのため撃ち殺すシーンなんて、さすがマカロニ西部劇で悪役を演じ続けてきただけあってサマになっていますね。

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 ▲ 『黒いジャガー/アフリカ作戦』より

 さらに、さらに.....アルド・サンブレルの活躍は80年代以降も続きます。

 マカロニ・ウエスタン映画で活躍された俳優さんが、その作品の衰退後も様々なジャンルの映画で活躍され続けている姿を見るのは嬉しい限りです。しかも、それが70年代に限らず、80年代、90年代、そして2000年以降も続くのですから僕も元気で頑張らねばと言う励みにも.....。

 今度はその80年代以降の出演作品を3本取り上げたいと思う。

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 左から、
 『アガサ・クリスティ/殺しのブラウン・スーツ』Video (The Man In The Brown Suit 1989・米)
 『屋根裏のロリータ』Video (Bambola Di Carne 1995・伊)
 『アンダーブラッディ』DVD (Killer Barbys Vs. Dracula 2002・西/独)

 ミステリーの女王アガサ・クリスティ原作の『殺しのブラウン・スーツ』はTV映画のようであります。“茶色のスーツを着た謎の男が落としたメモ、書かれていた暗号が意味するものは.....? TVドラマ『探偵レミントン・スティール』のステファニー・ジンバリストがキュートに演じる冒険ミステリ”とある(AXNミステリーより)。さて肝心のA.サンブレルですが、エンドロールには“as Taxi driver #2”と記されるもその姿は記憶になし。今回観直してもやっぱり分からんです。作品自体は面白いんだけどね。
 『屋根裏のロリータ』は“愛する父親が別の女と再婚しようとしていることを知った多感な少女が、インモラルな罠や巧みな誘惑で再婚を阻止しようとする異色のエロティック・サスペンス”とあり(allcinemaより)、この愛する父親役がA.サンブレルであり、役柄上は著名な建築家と言う設定です。全編エロエロ度が満載であり、ボカシが至るところで入れられ、A.サンブレルも元気なようであります。結局は娘の罠が成功し、父親(A.サンブレル)は婚約を破棄したようですね。
 『アンダーブラッディ』は“広大なサウンドステージを舞台に、現代に復活したドラキュラ伯爵と女性パンクロッカーの対決を描いたハード・アクション・ホラー作品。ヨーロッパツアー中のパンクロックバンド「キラーバービーズ」。彼らの激しい音楽の音は深い眠りについていたドラキュラ伯爵を甦らせてしまう。バンドの女性ボーカリスト、フラビアの周囲の人間が次々にドラキュラ伯爵の餌食になっていく。魔の手は次第に彼女に近づいてくるのだが.....”と言った内容だ(Amazonより)。A.サンブレルは億万長者の金持ちで舞台ともなった遊園地のオーナー役。若い女性が好きなのか、「キラーバービーズ」のフラビアがお気に入り.....後半でドラキュラの犠牲になりました。さすがに実在のロック・バンドだけあって迫力あるロック・サウンドが何曲も聴けて個人的には楽しいんですが、ドラキュラに華が感じられず映画そのものはチョット残念かな。

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 ▲ 『アンダーブラッディ』より

 
 アルド・サンブレルのマカロニ・ウエスタン作品を下記にリスト・アップです。
 この数多い出演作品から彼の代表作を選ぶとなると、先にも記しましたが『さすらいのガンマン』になるんでしょうね。あの外道の悪玉は数多い悪役の中でも光っており、彼の他の出演作の中でも強烈な印象を与えます。
 他に『黄金の棺』のメキシコ盗賊も僕は好きです。
 この作品ではラストに“ひねり”があり、主人公たちが墓場から取り出した棺に入っていたのが金塊ではなく、処刑された盗賊(A.サンブレル)の死体が入っていたんですよね。ラストのラストで意表を突かれた感じで、僕はこの映画の終わり方がとても好きなんです。
 『血斗のジャンゴ』は悪役と言うよりも主人公(T.ミリアン)を裏切って、その捕縛に協力する設定でした。
 マカロニ西部劇の名作『ウエスタン』はチラッと姿を見せる程度で、それは『夕陽のギャング』も同じです。物語の中盤過ぎだったかな、列車から降りて処刑場で銃殺をするシーンの監視役みたいな感じで姿を見せます。
 法を守る保安官役を演じても癖のある役柄は健在でした。
 『新・さすらいの用心棒』は怪我をさせられた腕の仕返しと言わんばかりに、主人公の一人(G.イーストマン)に過度な暴力を奮います。さすがに“あの”フランコ・ファンタシアが止めるぐらいですからね。

 アルド・サンブレル.....僕の大好きなマカロニ・ウエスタン映画は、A.サンブレルに代表される徹底した役者魂で悪を演じる俳優さんが存在して初めて見応えのある作品になると思います。だから僕は彼のような俳優さんを尊敬し、その出演作品を記憶の中に留めようとブログを続けているんでしょうね。

 晩年は脳の病で闘病を続けていたようですが、2010年7月に亡くなられました。
 その遺灰はスペインのアルメリア州タベルナス砂漠に散布されたと言うことがWikipediaに記される。


 ■ アルド・サンブレル in Macaroni Westerns ■

 Duello Nel Texas 赤い砂の決闘 1963
 Son Of A Gunfighter 最後のガンファイター 1965
 All'ombra Di Una Colt 情無用のコルト 1965
 Per Qualche Dollaro In Piu 夕陽のガンマン 1965
 100.000 Dollari Per Lassiter 砂漠の10万ドル 1966
 Dinamite Jim ダイナマイト・ジム 1966
 The Texican テキサス群盗団 1966
 Navajo Joe さすらいのガンマン 1966
 El Chuncho, Quien Sabe? 群盗荒野を裂く 1966
 Il Buono, Il Brutto, Il Cattivo 続・夕陽のガンマン 1966
 I Crudeli 黄金の棺 1967
 Faccia A Faccia 血斗のジャンゴ 1967
 Quindici Forche Per Un Assassino 情無用のならず者 1968
 Requiem Para El Gringo グリンゴのための鎮魂歌 1968
 Un Treno Per Durango 白昼の列車強盗 1968
 Vivo Per La Tua Morte 地獄の一匹狼 1968
 Un Minuto Per Pregare, Un Instante Per Morire 祈りの数分、死の一秒 1968
 C'era Una Volta Il West ウエスタン 1968
 Manos Torpes (Quando Satana Impugno La Colt) - 1970
 Arizona Si Scateno...E Li Fece Fuori Tutti アリゾナ無宿・レッドリバーの決闘 1970
 Uccidi Django...Uccidi Per Primo!!!  殺せジャンゴ.....早く殺せ 1971
 Giu La Testa 夕陽のギャングたち 1971
 Hannie Caulder 女ガンマン 皆殺しのメロディ 1971
 Su Le Mani, Cadavere ! Sei In Arresto 手を挙げろ、死者! お前を逮捕する 1971
 Bad Man's River 無頼プロフェッショナル 1971
 Amico, Stammi Lontano Almeno Un Palmo 新・さすらいの用心棒 1972
 Lo Chiamavano Mezzogiorno 真昼と呼ばれた男  1973
 Sella D'argento シルバー・サドル 新・復讐の用心棒 1978


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 ▲ Duello Nel Texas
  ■ 悪玉の配下.....中盤に登場。主人公(R.ハリスン)の命を狙うも失敗し命を落とす。

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 ▲ Per Qualche Dollaro In Piu
  ■ 悪玉インディオ(G.M.ヴォロンテ)の手下の一人。

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 ▲ Navajo Joe
  ■ 残虐な悪の主人公.....ラストで主人公(B.レイノルズ)に敗れ命を落とす。

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 ▲ I Crudeli
  ■ メキシコ山賊の頭領.....主人公(J.コットン)一行を襲うが失敗、軍隊に捕えられ処刑される。

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 ▲ Quindici Forche Per Un Assassino
  ■ 自身の殺人罪を主人公コンビ(C.ヒル,G.マーティン)に浴びせたならず者.....ラストで斃される。

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 ▲ Arizona Si Scateno...E Li Fece Fuori Tutti
  ■ 悪玉の主役.....主人公(A.ステファン)との深い因縁あり。ラストで戦いに敗れ斃される。

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 ▲ Hannie Caulder
  ■ 映画序盤、銀行を襲ったクレメンツ三兄弟と出くわしたメキシコ軍の部隊長(?)。

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 ▲ Amico, Stammi Lontano Almeno Un Palmo
  ■ 保安官.....主人公コンビ(G.ジェンマ,G.イーストマン)を捕えようと揉み合いの中で命を落とす。

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 ▲ Lo Chiamavano Mezzogiorno
  ■ 記憶喪失の主人公(R.クレンナ)が所有権のある金塊を狙う悪党一味の一人。

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 ▲ Sella D'argento
  ■ ヒール役と結んだ山賊の頭領.....子供を救出に来た主人公(G.ジェンマ)に斃される。


 (2013/06/03 補筆)

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