1933年6月6日 ノルウェー/オスロ出身 - 2009年5月
『荒野の復讐』と言うマカロニ・ウエスタン映画がある。
制作は1981年、既にこのジャンルの映画も作られなくなった時代にヒッソリと(?)作られた作品だ。
勿論、日本での劇場公開はなく、僕らの国では過去に映像媒体としてビデオがリリースされただけであった。僕自身、この映画の“売り”であった3D仕様の海外版DVDを所持するのみでモヤモヤ感を感じていた。
またまた褒め殺しになるが、『マカロニ・ウエスタン傑作映画DVDコレクション』(朝日新聞出版)がこの作品を国内初DVD化として、このシリーズの中でリリースしてくれた。しかも3D仕様ではなく、あの厄介なメガネを掛けなくても観られるように......。
ホント、この企画/出版は僕にとっては神の成せる技にも思えてくる。
この作品のタイトルバックが面白い。
馬小屋の小道具を使ってキャストやスタッフを紹介していく。
先日、このタイトルバックを注意深く見ていたら、『おや

』と言う名前を見つけた。
Fredy Unger......確か、Goffredo Unger の別名も同じ名前だった記憶が......。
そこでIMDbサイトを確認すると間違いなく、さらに彼にはもう一つの顔があって“Special effects”なる分野で映画製作と関わっていることを知った。

▲ 『荒野の復讐』
タイトル・バック 木樽に“special effects FREDY UNGER”の文字
ネットで用語を調べてみると、映画・テレビの特殊効果、特殊撮影、特撮とある。
IMDbサイトでは11本の作品に“Special effects”なるスタッフに彼の功績を伝えているが、具体的な詳しい中身は僕には分かりません。ただ『荒野の復讐』は3D手法(立体映画)の作品でしたから、その効果をより一層発揮されるよう視覚効果/撮影に力を注いだことは間違いないのでしょう。ちなみにマカロニ・ウエスタン映画でのこの分野でのお仕事は『荒野の復讐』のみのようです。
そんなわけで、今日はゴッフレード・アンガーの登場となります。
ノルウェーの出身ですが、家族(この場合、両親)はドイツの人のようです。
サーカス一家とありますから、そのサーカスの興行でノルウェー滞在時に生を受けたような記述がありました。
IMDbでは1954年のイタリア映画『道」(La Strada)から彼の足跡を記している。
名優アンソニー・クイン主演のこの作品は本邦でも劇場公開されたようですが、G.アンガーはuncredited扱いですのでその姿を日本の映画FANにアピールするには厳しかったのでしょうか。
本格的な役者生活は1960年に入ってから......出演作品が並んでいきます。合わせて“Stunts”として撮影に協力していたこともIMDbサイトでは記している。スタント=実際に出演する俳優の代役として危険な演技を行う、とありますが、その意味で間違いはないのかな。そのスタントとして活躍した作品も含めると、本邦での劇場公開作品も続いた。

写真左から、
『モデル連続殺人 ! 』国内盤DVD (Sei Donne Per L'assassino 1964・伊/仏/摩)
『惑星からの侵略』国内盤VIDEO (I Criminali Della Galassia 1965・伊)
『殺し屋へ挑戦状』Poster (A 077, Sfida Ai Killers 1965・伊/仏)
上記の作品の中で『モデル連続殺人 ! 』がそのスタントとしての作品になる。
『殺し屋へ挑戦状』はリチャード・ハリソン主演のスパイ映画ですが、僕らの国では映像媒体がリリースされていません。観たい作品の一つなのですが残念です。
マカロニ・ウエスタン作品は1966年の『帰って来たガンマン』が最初に記される。
これ以降、マカロニ西部劇への出演が多くなるが、この時代のイタリアはマカロニ・ウエスタン映画の全盛期で年間に何十本もの西部劇が作られていたため目立つのかも知れませんね。既にイタリア映画界では名バイプレーヤーとしての地位は確立されていたであろう彼ですから、ジャンルに関係なく作品への出演は続いていく。
マカロニ西部劇ではワンシーンのみの出演も珍しくはありませんが、それでも息の長い役者生活を送られていました。1980年代入っても銀幕にその姿を見せています。
IMDbでは1997年の『肉の蝋人形』(M.D.C.-Maschera Di Cera 伊/仏)まで87本の作品が並ぶ。
ここで僕の手元にある映像媒体や音盤からマカロニ・ウエスタン映画以外の出演作品を見てみます。

写真左から、
『熱砂の戦車軍団』国内盤DVD (La Battaglia Del Desertoa 1969・伊/仏)
『狼の挽歌』国内盤DVD (Città Violenta 1970・伊/仏)
『死神ジョーズ・戦慄の血しぶき』国内盤DVD (Shark: Rosso Nell'oceano 1984・伊/仏)
『熱砂の戦車軍団』は、憎しみあう敵味方同士が対立しながら砂漠の旅を続けていくさまを描いたマカロニ・コンバット映画の1本。第二次世界大戦下の北アフリカ戦線。イギリス軍大尉(ジョージ・ヒルトン)が部下たちと地雷を敷設して作戦本部に帰ってくると、部隊はドイツ軍の猛襲によって全滅させられた後だった。一行はジープで脱出するが、その途中で戦車が故障して孤立しているドイツ軍将校(ロベール・オッセン)と出会い、結局ジープに乗せる事になるが......。G.アンガーはそのジープに同乗するイギリス軍兵士の役どころ。この作品はマカロニ・ウエスタンでお馴染みの俳優が目白押しで楽しい。そしてブルーノ・ニコライのスコアも最高だ!

▲ 『熱砂の戦車軍団』から Goffredo Unger (タイトル・バックは英題)
『狼の挽歌』は、『さらば友よ』、『雨の訪問者』と並ぶチャールズ・ブロンソンの代表作とも言えよう。自分を裏切った女と、その背後に潜む組織に復讐を誓った孤独な殺し屋の姿を描いたハード・ボイルドアクションと、エンニオ・モリコーネの音楽も良く知られている。作品の冒頭、主人公(C.ブロンソン)の命を狙うヒットマンの一人がG.アンガーの役どころ。
『死神ジョーズ・戦慄の血しぶき』は、正体不明の怪物による犠牲者が続発する海岸。海洋学者が調査を始めるが何者かが邪魔をする。実は怪物の正体は、海洋資源を独占しようと企む者たちがバイオ・テクノロジーによって作りだした新種の生物だった。そのサメ&タコ&イルカの遺伝子が合体した突然変異生命体に襲われて命を落としたのが、G.アンガーでした。その仇をサルタナこと、ジャンニ・ガルコが取ってくれるよ。ビデオ邦題は『ジョーズ・アタック2』ですね。
さて、今度は音盤からG.アンガーの出演作品を見てみましょう。

写真左から、
『国際泥棒組織』CD (Troppo Per Vivere... Poco Per Morire 1967・伊/仏)
『要塞』CD (Hornets' Nest 1970・伊/米)
『La Polizia Interviene : Ordine Di Uccidere』CD (1975・伊)
僕の大好きなボンド・ガール Daniela Bianchi (ダニエル・ビアンキ)が出演されるアクション/犯罪物の『国際泥棒組織』は、フランチェスコ・デ・マージ先生のスコアです。ラオールの唄うカッコ良い主題歌を聴くと、D.ビアンキ嬢の動く姿を観たくなります。残念ながら未見なんですね。他の2枚の円盤(CD)も未見の作品になりまして、『要塞』は戦争物になるんでしょうか。エンニオ・モリコーネのスコアですが、「あれ?こんなに良かったっけ?」と耳を疑いながら聴いております。疑うなんて、大御所モリコーネに失礼ですが、これまでCDトレイに載る機会があまりなかったのは事実です(国内盤のEPも出てました)。
3枚目は馴染みのない作曲家Paolo Vasile......ジャケットを見るとアクション物のようにも思えますが、この円盤(CD)を所持していることさえ知らなかった。僕はCDを海外サイトから購入するので、まとめ買いなんですよね。だから届いてもそのときは聴かずにCD棚に収めて、結局は忘れてそのままと言うパターンが多い。だから結構な数の円盤が重複で手元に会ったりもする。そうそう、このコンポーザーはマカロニ西部劇の『Fantasma El Oeste』と言う作品のスコアを書いているんですね。今知りました。
■ ゴッフレード・アンガー in Macaroni Westerns ■
マカロニ・ウエスタン映画への出演は数が多いですね。
この中でG.アンガーの姿を堪能できるのは、悪役を演じた『キングと呼ばれた男』になるのかな。最初から最後まで憎々しい姿を僕らの前に見せてくれる。この人との戦いで主人公ガンマン、R.ハリスンは右腕を怪我して、黒幕との決闘ではレフティーで銃を捌いたと思います。
『行け、野郎、撃て!』でも悪党の一味でして、ヒロインとも言える女優と美味しいことをしています。
基本的には悪党の一味みたいな役どころが似合うのでしょうが、たまに善役や市井の人を演じさせても違和感はないかなと思っています。恰幅が良くて、無精ひげがあって、髪の毛がちょっと薄くて......特徴がありますね。
Un Fiume Di Dollari 帰って来たガンマン 1966
Sette Pistole Per Un Massacro 荒野の無法者 1967
Faccia A Faccia 血斗のジャンゴ 1967
Joko Invoca Dio...E Muori 貴様の神を呼べ...そして死ね 1968
Uno Dopo L'altro 皆殺しの用心棒 1968
Uno Di Più All'inferno 地獄へ逆戻り 1968
Corri Uomo Corri 続・復讐のガンマン 走れ、男、走れ 1968
Black Jack ブラックジャック 1968
O' Cangaceiro (Cangaçeiro, O') - 1970
L'oro Dei Bravados ブラバドスの黄金 1970
Testa T'ammazzo, Croce...Sei Morto...Mi Chiamano Alleluja 荒野の無頼漢 1971
Lo Chiamavano King キングと呼ばれた男 1971
Prega Il Morto E Ammazza Il Vivo 生者を殺せ、そして死者に祈れ 1971
Anda Muchacho, Spara ! 行け、野郎、撃て ! 1971
Gli Fumavano Le Colt...Lo Chiamavano Camposanto 奴の銃が火を吹く...墓場と呼ばれた男 1971
Uomo Avvisato Mezzo Ammazzato...Parola Di Spirito Santo 彼の名は精霊 1972
I Due Figli Di Trinita トリニティの2人の息子 1972
Il West Ti Va Stretto, Amico...E Arrivato Alleluja 続・荒野の無頼漢 1972
E Poi Lo Chiamarono Il Magnifico 自転車紳士西部を行く 1972
Los Amigos ロス・アミーゴス 1972
Lo Chiamavano Tresette...Giocava Sempre Col Morto トレセッタと呼ばれた男 1973
Storia Di karate, Pugni E Fagioli - 1973
Ci Risiamo, Vero Provvidenza ? 人生は辛いね、プロヴィデンツァ 1973
Di Tresette Ce N'E' Uno Tutti Gli Altri Son Nessuno すべてをまき上げる野郎トレセッタ 1974
I Quattro Dell'Apocalisse 荒野の処刑 1975
Comin' At Ya ! 荒野の復讐 1981

▲ Sette Pistole Per Un Massacro
■ 駅馬車の操者......終盤、悪党一味と銃撃戦を

▲ Faccia A Faccia
■ お尋ね者の主人公(T.ミリアン)に戦いを挑んだ悪徳保安官の一味

▲ Corri Uomo Corri (the man behind)
■ 町の保安官......悪党一味の襲撃で命を落とす

▲ Black Jack ( Ferdy Unger名義 )
■ 主人公(R.ウッズ)の復讐相手の一人

▲ Lo Chiamavano King ( John Silver名義 )
■ 武器強奪団の親玉で、黒幕の子分......主人公ガンマン(R.ハリスン)の弟を殺害

▲ Anda Muchacho, Spara !
■ 悪党の配下......女の策略にはまり主人公(F.テスティ)に逃げられる

▲ Uomo Avvisato Mezzo Ammazzato...Parola Di Spirito Santo ( ↑ spanish titol)
■ 軍資金を横領した軍司令官に取り入りおこぼれを画策する軍人......だと思う

▲ Ci Risiamo, Vero Provvidenza ?
■ 主人公(T.ミリアン)らを追う騎兵隊の兵士

▲ Di Tresette Ce N'E' Uno Tutti Gli Altri Son Nessuno
■ 主人公(G.ヒルトン)同様に財宝を追うヒール役(R.Garrone)の旧知の男

▲ I Quattro Dell'Apocalisse
■ 雪降る町の住民......産まれる赤ん坊が男か、女か、賭けをする
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